PCサウンドからPCオーディオへの道

パソコンを使った音楽鑑賞はUSB接続が主流で、ネットワーク再生にも広がりつつあります。
USB接続が主流になったのはまだ5年足らずのことで、それまではとりあえず音が鳴ればいいというレベルのものでした。
音が鳴れば良いといったPCサウンドから、音が良いからパソコンを使うというPCオーディオに変わってきたこれまでについて思うことです。
zionote取り扱い製品についての説明ではなく、私の記憶と考えとしてお読みください。

 

USBオーディオの飛躍「PCM2704」

USBがオーディオ鑑賞のレベルになった大きなきっかけは、TI(テキサスインスツルメンツ)のPCM2704というUSBチップです。
PCM2702よりもDACとしての特性は落ちましたが、SPDIF出力と、なんといってもI2S出力があるのがポイントでした。

USBオーディオとはパソコンとUSB接続し、USB信号からアナログ音声信号に変換して出力して音を鳴らします。
USBインターフェイスとUSBのデジタル信号からアナログ音声信号へ変換するDAコンバーター機能までを搭載したオールインワンチップがPCM270xシリーズです。

PCM2702はUSB入力からアナログ音声を出力する特性に優れた高音質なICでした。
私が当時勤めていたレコーディング機材メーカーでも、PCM270xを使ったUSBオーディオ機器があり、3.5mmと丸形光端子のコンボジャックを使ったライター程度の小型な製品でした。
これがUSB接続のヘッドフォンアンプとしても使え、光出力でオーディオアンプへデジタル接続もできると言うことでかなりヒットしました。
今で言えばDACにもヘッドフォンアンプにもDDCにも使えるJAVSのnano/Sのような機種でした。

Styleaudioを販売するためにzionoteを設立後、PCM2704のI2S出力を利用し、DAC ICを外付けにして高音質化を図る設計をStyleaudioに提案し、完成したのがStyleaudioの初代ジュエルシリーズ、CARAT-PERIDOTでした。

従来のUSBオーディオインターフェイスのICには基本的にDAC機能が内蔵されています。
内蔵されているのでDAC ICを外付けにする理由もありません。
しかし、数十万円から百万円を超えるような超ハイエンドオーディオ機に搭載されるようなハイスペックなDAC ICをUSBオーディオに使ったら、さぞ音が良くなるだろう、という発想です。

PCM2702には無かったI2S出力を使えば、PCM2704からDAC ICに高品位なデジタルオーディオ信号を渡せます。
PCM2702はそれまでのパソコンの音質を大幅に超える高音質なチップでしたが、それよりも特性で劣るPCM2704からI2S信号を使ってハイエンドDAC ICでDA変換を行えば、理屈ではハイエンドオーディオ機器のDA変換と同じ事ができるはずです。
事実、そうして完成したCARAT-PERIDOTの音はそれまでのUSBオーディオのレベルを超えていて大ヒットとなりました。

PCオーディオの基礎「サウンドカード」

PCM2704にDACICを組み合わせることで一気に高音質となったUSBオーディオですが、まだパソコンで高音質を狙うにはパソコン内部のマザーボードに直接取り付けるPCIカードのサウンドカードが主流でした。

理由はPCIカードにはVIA社のEnvy24(エンヴィ)というPCIオーディオコントローラーICなどがあり、24Bit/96kHz、なかには24Bit/192kHzという今でも十分ハイスペックな製品の存在がありました。これ、10年以上前の話しなんです。
24/96だとか24/192でハイレゾなどと新しい話題にもなってますが、10年以上前からサウンドカードを使えばパソコンで24/192の再生が可能でした。
もちろんDACICも外付けで、PCM179xといった今でもUSBオーディオ機器で24/192やDSD再生を行うDACICと組み合わせることで、音質的にも今でも十分使えるレベルでした。

ただ、当時のパソコンは今のようにマザーボードに多くの機能が搭載されてないので、ディスプレイと接続するためにビデオカードを取り付け、ネットワークやインターネットをするためにはLANカードを増設、USBポートも少ないので多く使うには拡張カードで増設といった状態でした。
更に問題だったのはマザーボードと拡張カードの相性問題が多く、拡張カード同士にも相性問題があって買ったのに使えない、使えてもどの拡張カードをマザーボードの何番目に取り付けるといったパズルのような組み合わせを何通りも試す必要もありました。

よって音が良いとはいっても誰もが簡単に使えるという状況でも無く、取り付けや設定が難しい面もあり、最悪使えなくても諦めるか違うパソコンで使うという割り切りも必要でした。

パソコンの電源を落としてケースを開けてネジで取り付けてパソコンを再起動といった作業が必要な拡張カードと違い、USBオーディオは取り付けも取り外しも簡単で基本的に再起動の必要も無く、相性問題も当時から少なかったです。※VIAなどの安い互換チップを使ったマザーボードは別でしたが…
しかし高音質なUSBオーディオに使われたPCM2704は最大で16Bit/48kHzという制約がありました。

次回「USBコントローラーIC編」に続きます。

 

 

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